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歯科大生のライフハックブログ

「歯とは何なのか」を歯学部生が真面目に考えてみた

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皆さん、突然ですがヒトって何本歯があるかご存じですか?

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正解は28本です。(親知らずを含めると32本です)

今回、この28本もある歯がヒトにとってどのような役割を持つのか、なぜ歯が必要なのかを考えてみました。

 

【目次】

 

歯とは何かー生物学的定義

脊椎動物を大まかに分けると、魚類、両生類、爬虫類、鳥類、哺乳類に分けられます。この中で魚類が最も下位に属するが、魚類はさらに無顎類と顎口類に分けられます。その他の動物は顎口類に属します。

歯というものは、無顎類には存在せず、顎口類にだけ存在するものです。このことを前提にして歯を生物学的に定義すると、“一般には上下の顎を有する顎口類の顎に存在して、食物摂取に重要な働きをする、カルシウムとリン酸を主成分にとした石灰化した組織構造を持つ器官”ということになります。

このように定義される歯は、種に応じた構造と形態をしていて、それぞれの摂食行動と深い関係を持っています。現存の動物は草食動物、肉食動物、雑食動物の3つに区分出来ますが、それぞれに応じて共通性があります。

爬虫類以下の脊椎動物と哺乳類の歯の違い

脊椎動物の比較的下位に属する魚類や爬虫類の歯は多生歯性といって、何回も歯がへ変わります。サメワニが代表的ですね。何回も生え換わることは利点ですが、この多生歯性には欠点があります。彼らが得たものは、モノドントと呼ばれる単純な形態の歯と、食物を丸のみにするか噛み切ることができない単純な顎構造と顎運動です。

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エネルギー需要度の高い哺乳類、特にその頂点に立つ人類に至っては、単なる捕食器官であった歯、顎の形態や顎運動は、食物を有効に利用できるものに改造される必要がありました。それによって、食物は細かく粉砕され、表面積を大きくして消化液と混ぜられる。このようにして、比較的エネルギー効率が低い植物性の食物も有効に利用することが可能になったといえます。いずれにしても、形が単純で常に入れ替わる歯では不可能なことです。

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なぜ人類は二生歯性なのか

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人間の歯は二生歯生と言って乳歯永久歯の二つの時期があります。

なぜこのように生え換わる必要があるのか?

哺乳類の場合、出生と同時に子どもは母親からの乳腺から分泌される乳を摂取し、出生後の一定期間成長を続けます。この期間は子どもは食物を摂取するための歯を必要としない。

したがって、顎が機能的にかなり成熟するまで歯が生えてくるのを遅らすことが可能になりました。自立するまで親からの保護と餌の提供は、歯の生えてくるのを遅らせ、歯の生え換わりの回数を減らしたと言えます。

このようにして、食物を合理的に処理できる歯を、顎骨、顎関節、筋肉群および支配神経などの構造を獲得した人類は、二生歯性という精巧な咬合面を持つ歯を発達させてきました。

さらに顎関節を複雑化させることで顎の運動に多様性を備えて色々な食物に対応することを可能にしてきました。

結局一回しか生え変わらないという欠点のある歯の代わりに、歯の種類や形態の分化を獲得したと言えます。

合理的に進化したんですね。

まとめ

永久歯は二度と生え換わりません。

今ある歯一本一本はこれまで人類が合理的に進化してきた結晶のようなものです。

ですので、大切にしましょう!

そのために歯磨きを徹底し、虫歯対策と歯周病対策をしっかりしましょう。